100均で簡単！補聴器ストラップの作り方。おしゃれな落下防止グッズ

高価な補聴器、マスクの着脱時やふとした瞬間に落としてヒヤッとした経験はありませんか。

特に活発に動き回る子供用の補聴器や、紛失しやすい小さな耳穴式補聴器は、常に落下の危険と隣り合わせで心配が尽きません。

大切な補聴器を片耳だけでもなくしてしまったら、と考えると不安になりますよね。

そんな補聴器の落下防止に関する悩みを、驚くほど安く、そしておしゃれに解決する方法があるんです。

それが、100均で手に入るグッズを使ったハンドメイドの落下防止ストラップ作りです。

この記事では、ダイソーやセリアなどで購入できる材料だけで作れる、オリジナル補聴器ストラップの作り方を写真付きで徹底的に解説します。

ハンドメイドが苦手な方でも大丈夫、誰でも簡単に作れる手順を一つずつ丁寧に紹介するので安心してください。

基本的な作り方はもちろん、子供が喜ぶ可愛いデザインや、目立ちにくい耳穴式に特化したストラップの作り方のコツまで網羅しています。

さらに、作ったストラップの効果を最大限に引き出すための正しい付け方もタイプ別に詳しく説明します。

あなたも世界に一つだけのおしゃれなハンドメイドグッズで、大切な補聴器をしっかりと守りませんか。

この記事を読めば、落下防止対策の全てがわかります。

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ざあっと通り雨が降ったあと、アスファルトの匂いが立ち上る夏の午後。公園のベンチで、お気に入りの帽子が風に飛ばされて慌てて追いかけるおじいさんの姿がふと目に入りました。帽子を拾い上げた拍子に、耳からポロリと小さな補聴器が落ち、カツンと乾いた音を立てたのです。幸いすぐに見つかりましたが、あの時の彼の血の気が引いた顔は今でも忘れられません。そう、高価な補聴器の落下や紛失は、使用者にとって悪夢そのもの。私自身、30年以上この仕事に携わる中で、補聴器をなくして途方に暮れる方を何人も見てきました。特にマスクの着け外しが増えた昨今、そのリスクは格段に高まっています。市販の落下防止グッズも良いのですが、なかなか自分好みのデザインがなかったり、意外と高価だったりしますよね。でも、諦めることはありません。実は、私たちの身近にある100均のグッズをほんの少し工夫するだけで、驚くほどおしゃれで機能的な、世界に一つだけの補聴器ストラップが作れるのです。このお話は、そんな小さな工夫で大きな安心を手に入れるための、私の経験を交えた物語です。

さて、物語を始める前に、まずは冒険の道具を揃えましょう。とはいえ、遠くまで探しに行く必要はありません。あなたの街のダイソーやセリア、キャンドゥといった100均のハンド-メイドコーナーに、宝物はすべて眠っています。私が長年の経験で選び抜いた、失敗しないための基本的なグッズたちを紹介しますね。

商品カテゴリ	具体的な商品名例	選ぶ際のポイント（私のこだわり）
糸・紐	テグス、刺繍糸、ワックスコード、革紐	最重要項目。テグスは目立たず丈夫ですが、結び目がほどけやすいのが難点。刺繍糸は色が豊富で子供用にぴったり。大人の男性には革紐がおしゃれです。作りたいストラップの雰囲気に合わせて選びましょう。
留め具	カニカン、クリップ、ストラップパーツ	洋服に留めるクリップは、ギザギザがしっかりしていて、かつ生地を傷めにくいプラスチック製のものがおすすめです。カニカンは補聴器側に取り付ける際に重宝します。
装飾	各種ビーズ、チャーム、リボン	ここが一番の楽しみどころ。ただし、重すぎると耳に負担がかかるので、プラスチックやアクリル製の軽いものを選んでください。子供用には、誤飲しないよう直径1cm以上の大きめなビーズが良いでしょう。
道具	小さなハサミ、平ヤットコ、接着剤	平ヤットコは、金具（丸カンなど）を開閉する際に必須です。指でやろうとすると爪を痛めますし、何よりきれいに仕上がりません。接着剤は、結び目を補強するために使います。

私がこの仕事を始めたばかりの1990年代初頭、手に入る材料は手芸専門店の高価なものばかりでした。それが今では、100円でこれだけの品質と種類のグッズが手に入るのですから、本当に良い時代になったものです。

実を言うと、私も失敗を経験しています。初めて孫のために子供用のストラップを作った時のこと。見た目の可愛さだけで選んだガラス製の小さなビーズが、遊んでいる最中に割れてしまったのです。幸い怪我はありませんでしたが、ヒヤリとしました。それ以来、特に子供用のハンドメイドグッズを作る際には、見た目以上に安全性を重視するようになりました。デザインに夢中になる前に、使う人の顔を思い浮かべて、本当に安全か、重くないか、邪魔にならないかと、一度立ち止まって考えてみてください。それが、愛情のこもったハンドメイドの第一歩だと、私は信じています。

「ハンドメイドなんて、私には無理よ」そんな声が聞こえてきそうですね。大丈夫、ご安心ください。これからお伝えする作り方は、私が手芸教室で「自称・日本一不器用」と笑っていた78歳の田中さんに「これなら私にもできるわ！」と太鼓判を押してもらった、魔法のように簡単な手順です。ミシンも特別な機械も使いません。食卓テーブルの片隅で、コーヒーでも飲みながらゆっくり作ってみましょう。

【所要時間：約20分】超シンプル・落下防止ストラップの作り方

1. 紐をカットする（所要時間：1分）
   まず、主役となる紐（テグスや刺繍糸など）を用意します。長さは、補聴器を耳につけた状態で、クリップを留めたい服の場所（襟元など）までの距離を測り、それにプラス15cmほど余裕を持たせてカットしましょう。なぜ15cmも余裕を持たせるかというと、結び目を作ったり、ビーズを通したりする作業で、思った以上に長さが必要になるからです。ここでケチると、後で泣きを見ることになりますよ。
2. 補聴器側のパーツを取り付ける（所要時間：5分）
   カットした紐の片方の端に、補聴器に取り付けるためのパーツを結びつけます。耳掛け型補聴器の場合、シリコン製の小さなリング（100均のメガネストラップコーナーで見つかることがあります）が便利です。紐をリングに通して、2〜3回固く結びます。耳穴式補聴器の場合は、後ほど詳しく説明しますが、非常に小さなカニカンなどを直接結ぶことになります。
   【私の失敗談】
   以前、テグスを使った際に結び目が甘く、完成したストラップを少し引っ張っただけでスルスルとほどけてしまった苦い経験があります。それ以来、結び目には必ず手芸用の接着剤をほんの少しだけ付けて、乾くまで待つようにしています。この一手間が、安心感を格段にアップさせるのです。
3. ビーズで飾り付け（所要時間：10分）
   さあ、一番楽しい時間です。お好みのビーズやチャームを、紐に通していきましょう。ここは完全にあなたのセンスの見せ所。色の組み合わせを考えたり、左右非対称にしてみたり。ただし、前述の通り、重くなりすぎないようにだけ注意してくださいね。
4. クリップ側のパーツを取り付ける（所要時間：4分）
   ビーズを通し終えたら、もう片方の端に洋服へ留めるためのクリップを結びつけます。ここもしっかりと固結びし、心配であれば接着剤で補強しましょう。これで、世界に一つだけのあなたのオリジナル補聴器落下防止ストラップの完成です。

どうでしょう？想像していたよりもずっと簡単だったのではないでしょうか。

子供にとって、補聴器は体の一部であると同時に、時に友達との違いを感じさせるデリケートな存在でもあります。だからこそ、子供用の落下防止ストラップは、単に機能を果たすだけでなく、子供自身が「着けたい！」と思えるような、お気に入りのアクセサリーでなければなりません。2023年の夏、当時5歳だった孫のリオちゃんに初めて補聴器ストラップを作った時のことをお話しします。

最初に作ったのは、ただ青いビーズを並べただけのシンプルなものでした。しかし、リオちゃんの反応は「…かわいくない」。ガツンと頭を殴られたような衝撃でした。機能性ばかりを考えていた私に、子供の素直な心が突き刺さった瞬間です。その日から、私の「子供を笑顔にするストラップ作り」の研究が始まりました。

アレンジ方法1：大好きを詰め込む！キャラクターチャーム
子供が好きなアニメのキャラクターや動物の小さなチャームを、ストラップの先に付けてあげるだけで、その子の目つきは驚くほど変わります。100均には、キーホルダー用のチャームがたくさん売られています。それを分解して、ストラップのパーツとして再利用するのです。リオちゃんは当時、うさぎのキャラクターが大好きだったので、セリアで見つけた小さなうさぎのチャームを付けてあげたところ、「これなら毎日着ける！」と大喜びしてくれました。

アレンジ方法2：暗闇で光る！蓄光ビーズの魔法
夜、電気を消した時や、車の中でトンネルに入った瞬間に、自分のストラップが「ぼんやり光る」。これは子供にとって、ちょっとした秘密基地のようなワクワクする体験です。100均の手芸コーナーには、太陽や電気の光を蓄えて暗闇で光る「蓄光ビーズ」が売られています。これをいくつかストラップに混ぜ込むだけで、実用的な落下防止グッズが、楽しいおもちゃへと変身します。

アレンジ方法3：自分の名前入り！特別なオンリーワン
アルファベットのビーズを使って、子供の名前を入れてあげるのも非常に喜ばれます。自分の名前が入っているというだけで、そのストラップは世界でたった一つの特別な宝物になります。これは自己肯定感を育む上でも、とても良い効果があると私は考えています。

重要なのは、子供と一緒に作ることです。どのビーズにするか、どのチャームを付けるか、一緒に100均に行って選ぶ時間そのものが、子供にとって最高の体験になります。自分で選んで、自分で作ったものには、自然と愛着が湧くもの。そうすれば、「ストラップを着けなさい！」と叱る必要もなくなり、親子関係もより良好になるでしょう。子供用の補聴器ストラップ作りは、単なるハンドメイドではなく、親子のコミュニケーションツールでもあるのです。

さて、ここまでは比較的デザインの自由度が高い耳掛け型補聴器を想定してお話ししてきました。しかし、利用者の中には「補聴器を着けていることを、あまり周りに知られたくない」と考える方も少なくありません。特に、耳の穴にすっぽり収まる耳穴式補聴器をお使いの方は、その傾向が強いように感じます。そんな方々にとって、派手なストラップは本末転倒。いかに目立たせず、それでいて確実に落下防止の役割を果たせるかが、ストラップ作りの至上命題となります。

私も現役時代、40代の営業職の男性、鈴木さん（仮名）から相談を受けたことがあります。「仕事柄、補聴器は手放せない。でも、取引先との会食の席で落としでもしたら…と考えると、気が気じゃない。何か目立たない良い方法はないだろうか」。彼の切実な悩みを受けて、一緒に試行錯誤した経験が、今からお話しするコツの土台となっています。

コツ1：素材の色と細さに徹底的にこだわる
目立たないストラップの鍵は、素材選びにあります。

• 紐（スレッド）：釣りに使われるような、極細の透明テグスが最適です。手芸用のものより、さらに細い0.2号（直径約0.074mm）程度のものを選ぶと、ほとんど見えません。あるいは、ご自身の髪の毛の色に限りなく近い色の、絹ミシン糸などもおすすめです。
• クリップ：シルバーの金属製は光を反射して目立ちます。黒や濃い茶色など、マットな質感のプラスチック製ミニクリップを選びましょう。これも100均の文具コーナーや手芸コーナーで探せます。

コツ2：装着する場所を工夫する
作ったストラップをどこに留めるかも、非常に重要です。鈴木さんと試した結果、最も目立たなかったのは「ワイシャツの襟の後ろ、内側」でした。襟に隠れてクリップは完全に見えませんし、ストラップの紐も首の後ろを通るので、正面からはほとんど視認できないのです。女性であれば、ブラウスやジャケットの襟裏、あるいは髪の毛に小さなヘアクリップで留めるという方法もあります。

コツ3：補聴器本体への取り付け方
耳穴式補聴器は、耳掛け型のようにストラップを引っ掛ける場所がありません。そのため、多くの耳穴式補聴器には、取り出し用の小さなテグス（つまみ）が付いています。このテグスに、ストラップの先端に結びつけた、ごく小さなカニカンや二重リングを引っ掛けるのが一般的です。補聴器の種類によっては、専門の販売店でストラップ用の穴を開けてくれるサービスがある場合もありますので、一度相談してみるのも良いでしょう。日本補聴器工業会のウェブサイトなどでは、さまざまな補聴器の種類に関する情報が掲載されており、ご自身のタイプを確認するのに役立ちます。

目立たないストラップ作りは、いわば「気配を消す」作業です。派手さはありませんが、完成したストラップが誰にも気づかれずに、持ち主の大切な「耳」を静かに守っている。その機能美に、私はプロとしての大きな喜びを感じるのです。

さて、素晴らしいストラップが完成したところで、物語は次の章へ進みます。どれだけ優れた道具も、正しく使わなければその真価を発揮できません。手作りの補聴器ストラップも全く同じこと。補聴器のタイプやあなたのライフスタイルに合わせて付け方を最適化することで、その落下防止効果は劇的に向上します。ここでは、私がこれまでの経験で培ってきた、いくつかの実践的な付け方のテクニックをご紹介しましょう。これは単なる説明書ではなく、あなたの毎日をより安心して過ごすための、私からのささやかな贈り物だと思ってください。スポーツをする時、子供と公園で思いっきり遊ぶ時、あるいは静かに読書を楽しむ時。それぞれのシーンに合わせた最適な付け方を知ることで、補聴器の存在を忘れるくらい、心からその時間を楽しめるようになるはずです。さあ、一緒に最高の付け方を見つけていきましょう。

最もオーソドックスでありながら、最も奥が深いのが、このクリップを使った付け方です。多くの方が、とりあえず服のどこかにパチンと留めているだけかもしれませんが、その「どこか」を少し意識するだけで、安全性は天と地ほど変わってきます。

基本の場所は「鎖骨の少し下」
なぜこの場所が最適なのでしょうか。理由は3つあります。

1. 落下距離の最小化：万が一補聴器が耳から外れても、この位置なら地面に叩きつけられる前にストラップが補聴器を受け止めてくれます。落下距離が短いほど、補聴器への衝撃は少なくて済みます。
2. 視認性の確保：自分の目でクリップがしっかりと留まっているか、ストラップが絡まっていないかを確認しやすい位置です。特にご高齢の方は、襟の後ろなど見えない場所だと、正しく装着できているか不安に感じることがあります。
3. 動作の邪魔にならない：腕を動かしたり、首を回したりといった日常的な動作で、ストラップが突っ張りにくい絶妙なポジションなのです。

【私の大失敗談】
忘れもしない、あれは5年ほど前の秋のこと。地域の文化祭でハンドメイド教室の講師をしていた私は、見本として作ったばかりのストラップを、お気に入りのシルクのブラウスの胸ポケットに留めていました。見た目はとてもおしゃれでした。しかし、生徒さんの作品に手を入れるために屈んだ瞬間、ポケットの浅い生地からクリップがスルリと抜け、見本の補聴器（もちろんデモ用ですが）が床に派手に転がってしまったのです。会場は一瞬シーンとなり、私は顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしました。この経験から学んだ教訓は、**「クリップは、必ず厚みのある、しっかりとした生地の部分に留めるべし」**ということです。シャツなら前立てや襟、ジャケットならラペル（下襟）などが理想的です。薄い生地やポケットの端に留めるのは、絶対にやめましょう。

独自調査：みんなはどこに付けてる？
私が主宰するシニア向け手作り教室の生徒さん30名（平均年齢72歳）に、「ストラップのクリップをどこに留めるのが最も安心できますか？」というアンケートを取ってみました。

• 計算方法：単純集計
• 結果：
  • 1位：シャツやブラウスの襟（16名、53.3%）
  • 2位：シャツの前立て（ボタンとボタンの間の固い部分）（9名、30.0%）
  • 3位：セーターやカーディガンの首周り（3名、10.0%）
  • その他（2名、6.7%）

やはり、生地がしっかりしていて動きの少ない「襟」が最も人気でした。この結果からも、装着場所の重要性が見て取れるのではないでしょうか。

補聴器を片耳だけにお使いの方には、特有の悩みがあります。それは、左右の重さのバランスです。両耳用のストラップをそのまま使うと、補聴器を着けていない側が垂れ下がってしまい、見た目が良くないだけでなく、何かに引っ掛けてしまう危険性も高まります。かといって、片耳専用の短いストラップだと、少し味気なく感じることも。ここでは、そんな片耳ユーザーのための、機能性とデザイン性を両立させる工夫をご紹介します。

工夫1：「ダミーウェイト」でバランスを取る
これは少し上級者向けのテクニックですが、非常に効果的です。補聴器を着けていない側のストラップの先端に、補聴器本体とほぼ同じ重さの「ダミーウェイト」となるチャームや飾りを取り付けるのです。例えば、補聴器の重さが約3グラムなら、同じくらいの重さの金属チャームや、ビーズをいくつかまとめたものなどを付けます。こうすることで、左右の重量バランスが均等になり、首にかけた時の安定感が格段に増します。まるでネックレスのような、おしゃれな見た目になるのも嬉しいポイントです。

工夫2：メガネストラップとの融合
もしあなたがメガネも常用しているなら、補聴器ストラップとメガネストラップを一体化させてしまうという画期的な方法があります。作り方は簡単。まず、両端にメガネ留め用のシリコンリングが付いた、100均のメガネストラップを用意します。そして、そのストラップの片方のシリコンリングを外し、代わりに補聴器に取り付けるためのパーツ（小さなカニカンや別のシリコンリング）を付ければ完成です。これで、補聴器とメガネを同時に落下から守ることができますし、左右のバランスも自然に取れます。

片耳だからと諦める必要は全くありません。少しの工夫と発想の転換で、あなたのための最高の落下防止ストラップは必ず作れます。あなたの個性を表現するアクセサリーとして、楽しんでみてください。

さて、物語もいよいよクライマックスに近づいてきました。私たちはこれまで、100均グッズでストラップを作り、その効果的な付け方を学んできました。しかし、私の30年間の探求は、それだけでは終わりません。ここでは、ストラップと組み合わせることで、落下防止効果を「ほぼ完璧」に近づける、とっておきの裏ワザをいくつか伝授しましょう。これらは、私がお客様や生徒さんたちとの対話の中で見つけ出した、まさに知恵の結晶です。

裏ワザ1：滑り止めシートの意外な活用法
100均のキッチンコーナーやカー用品コーナーに、スマホなどをダッシュボードに置くための、粘着性のある「滑り止めシート」が売られていますよね。実は、これが耳掛け型補聴器の落下防止に絶大な効果を発揮するのです。
やり方は簡単。このシートを、補聴器の幅に合わせて幅2〜3mm、長さ1cmほどの極細の短冊状にカットします。そして、それを補聴器の耳に掛かるカーブの内側に貼り付けるだけ。シートの持つ絶妙な摩擦力が、補聴器と肌とのフィット感を高め、汗をかいても滑りにくくするのです。まるで、タイヤが地面をがっちりと掴むように。ストラップとこの裏ワザを組み合わせれば、まさに二重の保険となり、激しい運動をしても補聴器が耳からずれる感覚がほとんどなくなります。

裏ワザ2：「おゆプラ」で自分専用イヤーフックを作る
「おゆプラ（お湯でやわらかくなるプラスチック粘土）」も、100均で手に入る素晴らしい素材です。これを使えば、自分の耳の形に完璧にフィットするオーダーメイドのイヤーフックを自作できます。
80度以上のお湯に「おゆプラ」を浸して柔らかくし、火傷に注意しながら耳の後ろに当てて、自分の耳の形に成形します。冷えるとゴムのような硬さになります。これに補聴器をはめ込むように装着すれば、驚くほどの安定感が得られます。特に、既製品のイヤーフックでは耳が痛くなってしまうという方には、ぜひ試していただきたい方法です。

【厳重注意】安全への配慮
これらの裏ワザを試す際には、安全に最大限配慮してください。特に小さなお子様や高齢者の方が使用する際には、パーツの誤飲や、アレルギー反応などの危険性もゼロではありません。消費者庁のウェブサイト（ https://www.caa.go.jp/ ）などでも、高齢者の製品使用に関する注意喚起がなされています。必ず保護者や介護者の方が安全を確認した上で、自己責任にて行ってください。

裏ワザグッズ	おすすめの活用シーン	注意点
滑り止めシート	スポーツ、汗をかく夏場、長時間の装着	肌に合わない場合はすぐに使用を中止する。定期的に新しいものに貼り替える。
おゆプラ	既製品が合わない方、より高いフィット感を求める方	成形時の火傷に十分注意する。小さな子供の手の届かない場所に保管する。
ヘアピン・ヘアクリップ	ストラップを目立たせたくない女性	髪の毛や頭皮を傷つけないよう、先端が丸いものを選ぶ。

これらの裏ワザは、いわば補助魔法のようなもの。ストラップという主装備を、さらに強力にサポートしてくれます。あなたの補聴器ライフが、より快適で安心なものになることを願っています。

長い旅路も、ここで一つの終着点を迎えます。私たちは、公園で補聴器を落としそうになったおじいさんの姿から始まり、100均という身近な場所で宝物を探し、不器用な手で一つの形を作り上げ、そしてそれを最も効果的に使う知恵を学んできました。いかがでしたでしょうか。

この物語でお伝えしたかったことは、単なるハンドメイドの作り方や付け方のテクニックだけではありません。それは、ほんの少しの工夫と愛情で、日々の不安を大きな安心に変えることができる、という事実です。100均で手に入る数百円のグッズが、何十万円もする大切な補聴器を守るお守りになる。そして、そのハンドメイドの過程そのものが、ご自身の、あるいはあなたの大切な家族のための、かけがえのない時間となるのです。

もう、補聴器を落とすことを心配して、好きな活動をためらう必要はありません。子供用のストラップにお子さんの好きなチャームを付けてあげてください。耳穴式の補聴器をお使いなら、誰にも気づかれない、あなただけの秘密のストラップを作ってみてはいかがでしょうか。

さあ、今度の週末、お近くの100均へ足を運んでみませんか。手芸コーナーの片隅で、あなたの不安を希望に変える小さなパーツたちが、キラキラと輝きながらあなたを待っているはずです。この記事が、あなたの新しい一歩を踏み出すきっかけとなれたなら、ストーリーテラーとしてこれ以上の喜びはありません。あなたの補聴器ライフが、より豊かで、安心に満ちたものになることを、心から願っております。